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Fri.

復活の日5 (MITSUI)

皆様、大変長いあいだ御辛抱をいただきまして、誠にありがとうございました。

先週の9月11日から1週間と言う長期に渡りお送りしてまいりました、東海豪雨ドキュメントドラマ:「復活の日」も、本日を持ちまして、いよいよ最終回を迎えることとなりました。

いくらネタがないとは言いながら、自分の弱さに負け、9年も前に書いた記事をアップするなどと言う、あまりにも安直な手段を取ってしまいましたことを、心より深くお詫び申し上げます。

明日からは、また通常のブログに戻り、この様なことが決して無い様、誠心誠意努力してまいりますので、今後ともどうぞ暖かい目でこのブログを見守っていただきます様、何卒よろしくお願い致します。

sakai.jpg

第1話】 【第2話】 【第3話】 【第4話

・・・・・・・・・・・・・・

復活の日 (第5話)

何という不運。
ああ、神はわたくしめを見捨てたもうたのか。
携帯よ、お前は無情にも私の最後の灯火すらかき消してしまおうと言うのか。
私は天を仰いいだ。

しかし、こうなったら、どうあがいてもしかたがない。
ここでジッとしていても同じことである。
私は、半ば諦めの境地で、とにかく今池まで行ってみようと地下鉄に乗った。

午後10時30分。今池駅到着。

改札を出てすぐのところに、今池周辺の案内図が貼られている。
さて、これからどうする。
いったいどの方向に歩き出せばよいのか。
私は、案内図を見ながら暫く途方に暮れていた。

『チャンチャチャンチャン、チャララチャンチャン、チャンチャカチャンチャンチャン、チャラピラピーー』

すると、なっ、何と言うことか、突然、私の携帯の着信音『孫』が鳴りだした。
極微量に残されていたと思われるバッテリーの命が、温度の加減なのか、ちょっとした振動によってなのか、そんな事はどうだっていい、とにかく何かの拍子で反応してくれたのだ。
私はあわてて受信ボタンを押した。

「もっ、もしもし!!」

「あっ、MITSUIさん? 何やってんですか? 早く来て下さいよ。 今どこなんですか?」

務飼の声が聞こえてきた。
私は人目もはばからず、大声を上げて泣いた。

「おーーーーっ、務飼くん、務飼くんか。よく電話してくれた、よーーく電話してくれたね。
ありがとう。ありがとねーームカちゃん。電話してくれてほんとありがとねーー、ウウウウウウウウッ」

「何泣いてんですか、エエトシこいて。だから、今どこなんです?」

「あっ、今? いっ、今、今、今今今、今池、今池、だから今池、今、今池だっつうーーの。」

「おっさん、落ち着きなさいって。今池に着いたんですね?
だったら、5番出口から外に出て下さい。そしたら、すぐ目の前に、クロネコヤマトのでっかい看板がありますから、そこで・・・・・・。」

「あっ、ちょっ、ちょっと待って、ちょっと、もしもし、もしもし、もしもーーし、もしもーーーーし。」
 ・
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 ・
携帯のバッテリーが完全に尽きた様だ。
しかし、概ねの目安は付いた。
ハッキリと場所が聞き取れたわけではないが、とにかく5番出口を目指せばいいと言うことだけはわかった。
私は、最後の命を投げ打ってまで私を助けてくれた携帯にお礼のキスをすると、そっと彼女を胸ポケットに仕舞い込み、5番出口へと急いだ。

出口の階段を駆け上がり、外を見ると、先ほどにも増して雨脚が強まっている様に感じた。
出口から傘越しにそっと見上げると、真正面に『クロネコヤマト』の文字が、雨の中、照明にうっすらと浮かび上がっている。
そして、徐々に看板の下に目を落としていくと、そこには、
 ・
 ・
 ・
笑いながら、こちらに向かって手を振っている務飼健二の姿があった。

GOUU-4.jpg

私は号泣した。
今日の雨にも決して負けないほどの大つぶの涙が、いつまでも溢れて止まらなかった。

午後10時45分。

そこは、それほど広いわけではないが、どこか落ち着ける雰囲気のある居酒屋だった。
こんな天候にも関わらず、務飼達以外にも3人連れの客が一組、奥の席に座って酌み交わしている。

務飼も、彼の事務所の課長さんも、もうスッカリと出来上がっている様子だった。
そりゃあそうだ。二人とも私がくるズッと前から、飲みっぱなしなのだ。
私も、席に着くなり生ビールを一気に飲み干した。

「プハーーッ! こげんうまかビールは、ひさしぶりですたい。」

何故か博多弁でビールを流し込むと、目の前にある料理を腹に味わいながら、私は、そこにいる二人に向かって、今日のこれまでの事を一気に吐き出していた。

「そいつは大変だったね。 ま、グッといって、グッと。」

課長さんが、そう言いながらビールを注いでくれた。
スッカリと冷え込んだ私の体に、人の温かさが染み渡った。
アルコールが回るにつれ、心身ともに次第に落ち着いてくるのが分った。

午後11時30分。

いつの間にか、客も私達だけとなっていた。
いつもなら、もっと遅くまで営業しているのであろうその店も、さすがにこの雨では看板にしたい様子である。
私達も、早々に店を切り上げることにした。
外はまだひどい雨だ。

「じゃあ、気を付けてな。」

そう言うと、店の軒先から課長さんが雨の中に飛び込んでいった。
課長さんも帰る術を失った口で、これから事務所に戻ってソファで寝るのだそうだ。
なかなか大変である。

私と務飼は、暫くの間、課長さんの後ろ姿を見送った。
 ・
 ・
 ・
午前00時00分。

務飼のアパートで、借りた煎餅布団の上に思いっきり横になると、睡魔が襲ってくるまでに、さほどの時間は必要なかった。
 ・
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意識が薄れていった。
 ・
 ・
 ・
激動の一日が幕を閉じた。

おわり


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